Restricted Hartree-Fock (RHF) 法は閉殻系に適用する HF 法である。
この方法では、全波動関数 ΦHF を、HF 軌道 ϕi(⋅) とスピン軌道 α(⋅), β(⋅) の積からなる 2N 次元の Slater 行列式で表す:
ΦRHF(x1,…,x2N)=(2N)!1ϕ1(r1)α(σ1)⋮ϕN(r1)α(σ1)ϕ1(r1)β(σ1)⋮ϕN(r1)β(σ1)⋯⋱⋯ϕ1(r2N)α(σ2N)⋮ϕN(r2N)α(σ2N)ϕ1(r2N)β(σ2N)⋮ϕN(r2N)β(σ2N)
ここで xi:=(ri,σi) は電子 i の空間座標とスピン座標の組である。
閉殻系ではすべての電子が (α,β) の対を作るため、各スピン軌道は同数を用意する。
Unrestricted Hartree-Fock (RHF) 法は開殻系に適用する HF 法である。
この方法では、N 組の α(⋅) と N−1 組の β(⋅) を用意し、それぞれ異なる軌道関数 ϕi(⋅) と ψi(⋅) と掛け合わせる。
同じ i に対する ϕi と ψi は縮退しておらず、軌道エネルギーはわずかに異なる。
HF 波動関数 ΦHF に対して、励起配置の Slater 行列式を加えた近似を配置間相互作用(CI)法という。
電子 i が a へ励起した配置を Φia、電子 i,j が a,b へ励起した配置を Φi,ja,b⋯ とするとき、その配置関数 ΦCI は、
ΦCI=C0ΦHF+i∑a∑C1Φia+i>j∑a,b∑C2Φi,ja,b+⋯
となる。ここで Ck は配置の重み(CI 係数)であり、これを変分法によって定める:
minimizeE[C0,C1,…]=⟨ΦCI∣H^∣ΦCI⟩
配置間相互作用法は多くの Slater 行列式を必要とするため、一般に計算コストが高い。
CISD 法は、HF 配置のほかに2電子励起配置までを考慮した配置間相互作用法である。
電子 i が a へ励起した配置を Φia、電子 i,j が a,b へ励起した配置を Φi,ja,b とするとき、その配置関数 ΦCISD は、
ΦCISD=CHFΦHF+i∑a∑CiaΦia+i>j∑a,b∑Ci,ja,bΦi,ja,b
となる。
CID 法は、HF 配置のほかに2電子励起配置のみを考慮した配置間相互作用法である。
ΦCID=CHFΦHF+i>j∑a,b∑Ci,ja,bΦi,ja,b
Full-CI 法はすべての励起配置を考慮した配置間相互作用法である。非常に計算コストが高く、十分小さな系でないと適用できない。
## Møller-Plesset 摂動(MP)法